
年末調整は、月々の給料やボーナスなど1年間の課税される給与収入の合計から、給与収入に応じて控除額が決められている給与所得控除を控除し、さらに配偶者控除や社会保険控除などその人の対象となる所得控除を給与所得からマイナスしたものが課税される所得となります。
ここで速算表適用の税率をかけて算出し、月々の給与やボーナスから概算として天引きされていた所得税を精算し、過不足の所得税額を出します。また、2年目以降の住宅ローン控除があればここからさらにマイナスすることができ、納め過ぎている部分が還付されることになります。
この精算手続きで他に収入がなければ所得税の納税は完了したことになります。
ただし、年末調整の対象となる給与収入が2,000万円を超えるときは年末調整を受けられませんので、所得税の確定申告を行うこととなります。
一方、個人の事業経営者は自らの事業所得を計算してから、これらをきちんと精算する手続きが必要となり、この役割を果たすのが「確定申告」です。
また、サラリーマンでもサイドビジネスによる収入があったり、会社の役員などで複数の会社から報酬を受けているときにも確定申告が必要となります。
さらに一般のサラリーマンでも、医療費控除や雑損控除など、年末調整では受けられない所得控除がある場合は確定申告をして税金を返してもらうことができます。
他にも、先に述べたように老齢(退職)に基因する年金などについても、年金という所得の性質を考慮その税負担を軽くするため公的年金等控除という控除が設けられていて、その年金収入から公的年金等控除を差し引いて残った金額が(公的年金の)雑所得となるため、給与以外に厚生年金などの公的な年金収入があるときは確定申告が必要となります。
ただし、障害年金や遺族年金などはすべて非課税とされていますので、年金収入に入れる必要はありません。障害に基因する特別措置などについては後ばと詳しく述べることにします。
また、所定の要件を満たすマイホーム(住宅)を住宅ローンを組んで取得するなどしたときには、所得税を最高30万円控除してもらえる住宅ローン控除という制度もあります。
この住宅ローン控除は、住宅の取得などに対する特例であり、入居年から6年間のみ、その年末現在の住宅ローン残高に応じた控除額が控除されます。また最初(1年目)に控除を受けるときは所得税の確定申告をしなければなりませんが、2年目以降の控除を受ける場合には年末調整で控除することもできます。
このように、サラリーマンであっても個人事業経営者であっても、その所得に対して年末調整や確定申告することにより、障害者控除をはじめさまざまな所得控除を受けることができますので、確定申告の時期には税務署の相談窓口で相談するなど、所得控除の制度を大いに活用したいものです。
なお、確定申告で所得税を精算する流れを図28に示しましたので参考にしてください。
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